【巻頭エッセイ】

「義挙の外にはとても策これ無きこと ~ 頑張れ日本!運動へ」

                   日本文化チャンネル桜 代表 水島 総

今、私たちの生まれ育った日本は危機に陥っている。
経済は疲弊し、人心は荒れ果て、政治は偽善と金権腐敗が政権中枢に
はびこり、利権の為に他国に従属して恥じない政治家が権力を握り、
亡国への道を歩んでいる。

社会の正義を糺すはずのマスメディアも、ジャーナリズムの誇りと矜持を
忘れ、戦後日本が辿った金とモノを優先させる風潮に染まり、その腐敗
体質から、ついに外国勢力の影響下に入り、自らの役割を放棄するに
至っている。

これが今ある我が国の現状だが、それ以上に深刻な問題が存在する。

この危機的現状を感知し、認識するだけの精神的土台が、日本社会の
指導層から消失している事だ。
もはや危機を危機として知覚出来ぬほど、精神が鈍麻し、痩せ細っている
事である。
危機に直面している日本にとって、危機の本質は、日本人の精神的危機
に他ならない。

経済の危機、政治の危機、安全保障の危機を言う政治家や文化人は
多いが、これら危機の本質が、日本人の「心の危機」から来ていることを
正面から言う人は少ない。
つまり、政権交代や法律や憲法の改正等は単なる小手先の手段であり、
実はそれを支えるべき日本人の「精神の貧困」が問題の本質なのである。

私はこれまでも、私たち戦後日本人には、「絶望が足りない」「日本が足
りない」と述べて来た。
これは「認識」面だけの問題ではない。
心と魂の「貧困」が問題であり、例えば「勇気」「道義」「誠」「人情」等の本来、
日本人の持っていた心の貧困を述べたものである。

皇室に伝えられている三種の神器の意味するものは、一般に、鏡の「誠」、
玉の「慈愛」剣の「勇気」と言われて、この三つが日本人精神だとされている。
戦後日本人は、この三つ全てを失い、特に「勇」の部分がほとんど消失して
しまったように思われる。

繰り返すが、日本国憲法が悪い、政府が悪い、政治家が悪いのでは無い。
私たち戦後日本人にそれらを変える「勇気」が無く、臆病風に吹かれて、
唯あれこれ屁理屈を捏ねまわし、口先で「評論」していれば、それで良しと
して来た「文化人」が余りに多かったのだ。
小林秀雄並に命がけの文筆活動をして、「書くことが運動である」ことを
実践出来た文化人が一体、今、どのくらいいると言うのか。

繰り返すが、私たち日本人にとって精神の危機は、認識や解釈の問題では
ない。
勇気や情熱、慈愛等を含む「心の危機」「魂の危機」の問題である。

年末、西部邁先生がキャスターをなさっている東京MXテレビの「西部邁ゼミ
ナール ~戦後タブーをけっとばせ~」に出演させていただいた。
ここで私たちは、番組プロデューサーがハラハラするような小沢一郎不敬論
を展開した。私が天皇陛下への小沢一郎の不敬行為を「国賊」と言えば、
西部先生も「ゴロツキです」と応じるといった具合である。

番組収録後、いつものように新宿に飲みに出かけ、談論風発という形で、
あれこれ話したが、中でも、興味深かったのは「運動論」についてだった。

西部先生は、御存知のように六十年安保闘争を学生指導者として戦った方
である。
先生に、今、「政治運動」についてどう考えているかお聞きした。

「私は、鎌倉時代に始まった鎌倉新仏教のことをイメージするな。
 新しい政治体制に変わった時、旧仏教に対して起きた日蓮の日蓮宗、
 親鸞の浄土真宗、道元の曹洞宗、法然の浄土宗、一遍の念仏宗とかね、
 一遍のなんかは踊りながら、御念仏を唱えるってやつでしょう。
 そういう色々な形が想定出来るんじゃないかな」

この言葉は、ちょっと酒が醒めるくらい示唆を受けた。

確かに鎌倉時代は、それまでの貴族政治が終わり、武家政治に転換した
時代であると同時に、隣国支那では強大なモンゴル人の国「元」が支那を
支配し、周囲を併呑しているという、かなり「安全保障」上、「国難」と言う
べき危機の時代に突入していた。

しかし、その時代に最も必要であり、重要だったのは、実は日本人の「心」
のありようだったという事実を改めて気づいたのである。
日蓮の「立正安国論」や道元の「正法眼蔵」、親鸞の「歎異抄」等は、まさ
に私たち日本人の在り方、私たちの心の「立命安心」に真正面から応える
ものだった。

具体的なあれこれの法律や制度の改変や政治家の在り方を問う運動の
前提に、私たち日本人の心の在り方をまず自身に問う姿勢の必要を
改めて気づかされたのである。

私たちが展開する草莽日本運動は、まさに戦後日本人の荒んだ心を本来
の日本人の心に戻していく「魂の復興運動」という本質を常に念頭に置く
べきなのだ。

さて、ここからは一種の呼びかけとなる。

これまでも取り上げた文だが、明治維新の志士久坂玄瑞は、松下村塾の
師である吉田松陰の言葉を借りて、次のように述べている。

『つひに諸侯恃むに足らず、公卿恃むに足らず、草莽の志士を糾合、
 義挙の外にはとても策これ無きことと、私共同志申し合せ居り候ことに
 御座候。失敬ながら、尊藩も弊藩も滅亡しても大義なれば苦しからず』

つまり、これまでの戦後を担ってきたはずの政治家も財界人も、もはや頼む
に足らない、この上は、草の根(草莽)国民の義挙の他には、日本を救う
手立てはない、そう私たち同志は決断した。
民主党も自民党も財界も、戦後の仕組みを解体、消滅させても良いという
覚悟である。
 
私たちはこういった覚悟で、本年訪れる日本の解体の大難局に「草莽」の
一人一人として、起つことを決めた。
それが先日、番組でも発表させていただいた「頑張れ日本!運動」の提唱
であり、「頑張れ日本!全国行動委員会」の結成である。

天皇陛下は、御即位二十年の国民祝典における御言葉で、
「日本人が戦後の荒廃から非常に努力して、今日を築いてきたことに
 思いを致し、今後、皆が協力して、力を尽くし、良い社会を築いていく
 ことを願っています」と呼びかけられた。

私たちはこの御言葉に応えようと決意した。

差し迫る日本解体の危機にあって、私達は、祖国日本に何をしてもらえるか
を願うだけの「物乞い」「金乞い」戦後日本人から、私達が日本に何が
出来るかを考える草の根(草莽)日本国民として起つ決意をしたのである。

世界最古の国の伝統文化を尊重し、それを作り上げて来た祖先への敬意と
未来の子供たちを思いやる、誇りと優しさと勇気に満ちた、本来の日本人の
心を再び取り戻そうと決意したのである。

そして、我等が何を為すべきかと考えた結論が、全国の草莽から待たれて
いた日本草莽運動の統一全国組織の創設だった。
草の根国民の全国行動組織「頑張れ日本!全国行動委員会」の結成である。

戦後日本の在り方を改めて問い直し、日本人本来の心を取り戻す為に、
私たちは「頑張れ日本!運動」を全国展開する。

これは日本人の魂の復興運動であると同時に、民主党、自民党といった
既成の戦後政治体制を打破し、日本草莽の力によって、根本的な日本の
政治体制の転換を創り出していこうとする具体的な日本草莽運動でもある。

「頑張れ日本!運動」は、日本解体を策している反日勢力や外国勢力に
正面から対決し、外国人地方参政権付与や外国人住民基本法等の「日本
解体」法案を阻止する。

また、反日国会議員を全国規模で落選させる日本初の
「売国議員落選全国運動」を展開していく。

さらに、日本にとってどうしても必要な政治家や政治家候補を全国規模で
創り出し、中央へ送り出す全国運動を推進し、「頑張れ日本!全国行動
委員会」と地方支部は、その中心母体となる。

私たちは日本の良き伝統文化の復興と保持の為に「頑張れ日本!運動」
を日本国民すべでの各層各地域において推進し、日本人の「魂の復興」
の実現を目指す。

「頑張れ日本!全国行動委員会」代表には、田母神俊雄(前航空幕僚長)氏
が、同志の皆様の賛同を得て就任する予定である。
 
組織は、顧問団、代表幹事会、幹事会、事務局、提言委員会、都道府県
支部、各地方支部等によって構成される予定であるが、中心は何よりも
日本草莽個人個人である。

二月二日(火)は、その歴史的な日となる。
二月二日の東京・日比谷公会堂が、全国草莽運動その発祥の地となる。

ついに、日本最初の草莽全国運動組織「頑張れ日本!全国行動委員会」が
結成されるのである。

我が国の現状を憂う全国草莽の皆さん!

この「頑張れ日本!全国行動委員会」結成大会及び、引き続き開催される
全国総決起集会に、どうか全ての日本草莽の皆さんが御参集くださるよう、
心よりお願い申し上げたい。
日本の行方は、私たち日本草莽の決意にかかっていると、私は本気で
考えているからだ。


 もののふの やまと心を より合せ ただひとすぢの 大綱にせよ   野村望東

一覧へ戻る