【巻頭エッセイ】

「貫く棒の如きもの」

                 日本文化チャンネル桜代表 水島 総

以前にもこのエッセイで紹介したと思うが、標題は
「去年今年 貫く棒の如きもの」という高浜虚子の新年の句からとっている。
正月を迎えるごとに、私はこの句を思い出す。

棒の如きものは二千年以上にわたる日本の歴史であり、
日本民族の「命」の連続である。
同時に、私たち日本人の無数の喜びや悲しみの連なりであり、
棒の如き民族の「意志」でもある。
日本に生まれた私たちの命の営みも、「貫く棒」の一部である。

元日の朝を迎え、窓を開け放ち、流れ込んでくる冷気を感じながら冬の
清らかな青空を眺める。
振り返ると雑煮の湯気が優しく立ち昇っている。
随分昔から、無数の日本人がこのような正月の風景に同様な感慨を
抱いて来たのだろうと思う。

天皇陛下は大晦日から、宮中祭祀の 節折の儀、大祓の儀を司り、
元旦は夜明けから 四方拝、歳旦祭と国家国民の安寧と平安を祈られる。
まことにありがたいことである。

大自然の営み同様、年毎に私たちは穢れを払い、まるで生まれ変わる
ように元旦に再生する。
かくの如き国に生まれた喜びと誇りを感じて来たのは私だけでは無い
だろう。
無数の先祖たちの気持ちであったろうし、過去から貫かれた棒の如き
共通の感情であったと思う。

改めまして、皆さまに、新年の御挨拶を申し上げる。
旧年中は皆さまからの熱誠溢れるご支援、ご指導、ご鞭撻を頂き、
おかげさまでチャンネル桜は七年目の放送を続け、今年の八月十五日で
八年目を迎える。
これも偏に皆さまのご支援の賜物である。

さて、日本文化チャンネル桜は、創立以来、様々な困難や危機が続いて
来たが、何とか今日まで放送を続けることが出来た。
そして今、一日二時間から三時間の放送が続けられている。

チャンネル桜二千人委員会、友の会、広告主の皆さま、そしてSo-TVを
ご覧の皆さまのお陰である。

チャンネル桜は、戦後のマスメディアの偏向や歪曲に対して一矢報いたい、
そういう思いで立ち上げられたが、このマスメディアへの戦いは、
戦後日本体制総体への異議申し立ての戦いでもあった。

日本唯一の草莽テレビ局チャンネル桜の創立と七年にわたる放送継続の
結果、ひとつのラジカル(根源的)な国民の潮流が生まれた。
昨年二月二日の「頑張れ日本!全国行動委員会」の結成である。

今直面する日本の危機的状況に対して、ついに草の根国民が起ち上がり、
国民運動の巨大なうねりを生み出したのである。
戦後体制を草の根国民自らの手によって清算させていこうとする
「第三の潮流」として登場したのだ。

中国の尖閣諸島、沖縄侵略行為に代表されるように、日本は今、
現実的な危機にある。
今年もその危機は深化、拡大こそすれ、和らぐ事はないだろう。

しかし、今の日本を見渡した時、政界も財界もマスメディアも、そして
官僚の世界も、つまり日本の戦後体制そのものが、解体と崩壊の危機に
陥っている。
今、私たち日本人が何を為すべきか、日本という祖国に何が出来るか、
戦後日本全体が、未来への展望を為し得ず、恐るべき視界不良と混乱
状態になりつつある。

そういう中で、草の根国民は、自らの生活の中から日本という国の危機を
体感し、自分たちは日本国民なのだと自覚し、行動に起ち上がったので
ある。
チャンネル桜の社是の一つである吉田松陰の「草莽崛起(そうもうくっき)」
という言葉が、今、まさに現実の行動となり、全国各地で草莽崛起運動が
起こり、無数の燎火の如く拡大している。

その国民運動の中核として「頑張れ日本!全国行動委員会」は、多くの
草莽国民と共に、全国各地で「草莽崛起」の国民運動を展開して来た。
今や既成の戦後体制そのものである政財界、メディアも、
この第三の潮流の勃興を無視出来なくなってきている。

そういう中でチャンネル桜も、報道機関として、マスメディアが報道しない
報道を続けて来た。
例えば小沢一郎氏の「沖縄の土地取得場所の発見」、或いは尖閣諸島
の様々な報道、中国の激化する内部矛盾やチベット、ウイグルの虐殺、
人権弾圧等である。

チャンネル桜だけはどこにも阿ねらない、どこにも屈しない自由な放送局
として、草の根国民が支えてくれている唯一の草莽放送局として、腐敗
した戦後体制打破への報道を果たしてきたのではないかと自負している。
真実を報道することこそ、最も大きな草莽崛起運動なのだとも言えるので
ある。

また、YouTube或いはニコニコ動画といったインターネットの公式動画
サイトでも、毎月二百万を超える皆さんに、このチャンネル桜の報道を
視て頂くようになった。
私達は多くの国民に真実、或いは事実を知って貰いたい、マスメディアが
報道しないものを国民に伝えたい、そういった思いで、今、YouTubeや
ニコニコ動画を、無料で開放している。

それを支えて頂いているのがチャンネル桜二千人委員会ほかの皆さま
である。
繰り返しになるが、心から御礼を申し上げたい。

私は、いつも、何度も、久坂玄瑞という維新の志士の言葉を引用している。
まさに草莽崛起の真髄を述べているからだ。

  「諸候たのむに足らず、公卿たのむに足らず、
   草莽の志士、糾合義挙のほかにはとても策これ無き事と、
   私ども同志うち申し合いおり候事に御座候。」

                        (武市半平太宛の手紙より)

「草莽崛起」の昨年の典型的な行動は、海上保安官が自分の地位も
顧みず、「国民の知る権利に応えたい」と、インターネットに尖閣沖衝突
事件の動画を配信したことである。
正にメディアがしない報道を為し、真実を国民に伝えるという、あの志は、
チャンネル桜の創立趣旨と同じものである。

草の根の一人として、その勇気に改めて敬服を表したい。

民主党政権が続く中、戦後日本がカオスの状態に陥った今、これから、
私達にも様々な圧力や抑圧、脅迫等があるかも知れない。
いや、必ずあるだろう。
既に私はそれを肌で感じ始めている。

しかし、どんな状況下にあろうと、私達は日本と日本人を主語とした報道、
良き日本人である事、良き日本である事を目指した報道を断固として
続けていく。

今年も、そしてこれからも、私達は、私も含めて試行錯誤を繰り返しながら、
ある時は間違ったり、誤ったりする事もあるかもしれない。
しかし、そういった過ちや間違いを明らかにしながら、そして、失敗や
錯誤を踏まえて、何よりもこの日本のために、どんな放送を続けていけ
るか、常に真摯に考え、前向きに進んでいきたいと考えている。

今年も心より、ご支援、ご指導、ご鞭撻の程をよろしくお願い申し上げます。

  風照るや 参賀の群の独りなる   辻 圭

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