【桜・ニュース・ダイジェスト 第2号 2006.10.28】

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SAKURA NEWS DIGEST              第2号 2006.10.28
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   ┃桜┃・┃ニ┃ュ┃ー┃ス┃・┃ダ┃イ┃ジ┃ェ┃ス┃ト┃
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  日本文化チャンネル桜  公式メールマガジン sky perfecTV! 767ch
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~渡部昇一先生や、中西輝政先生など豪華出演者が集う
      日本文化チャンネル桜より、公式メールマガジン~
    
     
今号のコンテンツはこちら・・・

 □ チャンネル桜 水島より冒頭言
 
 □ チャンネル桜の番組案内。
 
 □ 『妄説に断! 渡嘉敷島集団自決に軍命令はなかった』前編
   (月刊「正論」11月号寄稿文を2回に渡って紹介します)

 □ おすすめのイベントや講演会に関する情報。

 □ おすすめの書籍紹介。

 

〓【 チャンネル桜 水島総より頭言 】〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

総理の変節?     水島 総

  最近、安倍総理の教育再生会議の人選、村山談話や非核三原則堅持
  発言を受けて、総理の「変節」を非難する保守言論人が多い。果たして、
  そうなのか。
  
  私たちは、まず、安倍氏が「思想家」や「言論人」ではなく、「政治家」
  で あることを前提にすべきである。北朝鮮の核実験という危機的現
  実を踏まえ、首相としての安倍氏は、今、現実にある日本国民の生命と
  財産を守ることを最優先すべき立場にあるということである。核武装や
  自主防衛の正論を今安倍氏の発言に求めるのではなく、党内媚中派や
  反対派、与党公明党が存在している現実の中で、政治を実際に行わな
  ければならないことを理解すべきである。
 
  もう一つは、安倍晋三という人物は、口先だけではなく、六十年以上続
  いてきた戦後体制を、現実に、具体的に、変えていく意欲と戦略を持っ
  た政治家なのではないかということである。

  安倍氏が最も「教訓」を受けているのは祖父の岸信介だと言われるが、
  安倍氏はその著書において、岡崎久彦元駐タイ大使と対談し、次のよう
  なエピソードを紹介している。  
  
  岸元首相は、六十年安保改定時、改定案に反対する大野伴睦氏に、
  念書まで書いて次の総理の座を約束した。この「約束」で、大野氏と
  大野派は法案賛成に回り、安保条約改定は国会で成立した。戦後

  日本の基礎となった法案である。
  
  しかし、その後、岸氏は大野氏との約束を破り、次の首相は池田勇人氏
  となった。岸首相の親戚筋の男が、「おじさん、これはあまりにもひど
  いんじゃないか?」と尋ねたところ、岸氏は頷きながら、「国のためな
  ら、仕方ない」と答えたと言う。安倍氏は、このエピソードを肯定的に
  紹介している。
  
  このエピソードに見られるように、また、安倍氏が「私の強みは、みん
  なが私を坊ちゃん育ちだと思っていることだ」と述べているように、私
  は、安倍氏をかなり戦略的な政治家であり、その戦後体制の変革のた
  めには、その行動、政策、戦術において、きっちり、短期、中、長期的な
  視点と戦略で動いていると見ている。
 
  よく、チャンネル桜の放送でも言うのだが、例えて言えば、彼は「革命
  家」織田信長ではなく、「戦略的」に江戸時代を開いた徳川家康である。
 
  私たちが主張すべき「正論」と現実の「政治」は、似て非なるものであ
  る。正論は、私たち国民が「あるべき姿」「あるべき国家」を提示し、
  発言し続けるべきものであり、政治は現実との係わり合いの中で、その
  時々の最良の方策を選びながら、将来の戦略的な政治目標達成へと向
  かうべきものである。本当の「正論」は、私たちの理想を現実の政治に
  具体的に結びつける方策を提案すべきものではないか。
 
  安倍氏に対して「裏切られた」「疑問だ」等々、短兵急に「正論」で批
  判する保守陣営を見ていると、「政治」に対する無知、私たち保守の薄
  っぺらさ、底の浅さを痛感するのである。極論すれば、イデオロギーだ
  けで主張する戦後サヨクと、実は表裏一体の思考構造なのではないかと
  も思えてくるのだ。
  
  「正論」と「政治」の狭間を繋ぐ現実的な提言こそ、今、日本保守界に
  求められているように思うのである。

    もののふの
  
      やまと心をより合わせ
  
    ただひとすじの
  
        大綱とせよ

                    野村望東尼

〓【 チャンネル桜 今週の注目番組 】〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

( 1 )【注目番組!】
   討論! 「緊急討論!朝鮮半島情勢と東アジアの未来」
  
  歴史、政局、安全保障、皇室典範、外交などなど、日本の直面している
  課題や時局のテーマについて、深く、鋭く斬り込んでいく
   「日本よ、今...闘論!倒論!討論!」。
  今回は「緊急討論!朝鮮半島情勢と東アジアの未来」と題して、中国
  ・朝鮮半島情勢に詳しい論客が揃い、熱い議論をお送りします。
 
  週末の夜に、どうぞじっくりとお楽しみください!

パネリスト
 
 青木直人(ジャーナリスト)
 潮匡人(評論家)
 島田洋一(福井県立大学教授 / 「救う会」全国協議会副会長)
 西岡力(東京基督教大学教授 / 「救う会」全国協議会常任副会長)
 増元照明(「家族会」事務局長)
 山際澄夫(ジャーナリスト)
 
司会
 
水島総 (日本文化チャンネル桜 代表) 
 

放送日時
 
 10月28日(土) 21:00 - 24:00
 10月30日(月)  1:00 -  4:00 (再放送)
 11月 5日(日)  2:00 -  5:00 (再放送)

なお、まもなくBB放送でインターネット上でご覧になれます。
ここからどうぞ↓↓
http://bb.ch-sakura.jp/search.php?s%5Bgenre%5D=42



( 2 )【注目番組!】 緊急特番 北朝鮮処分が始まった!

   -金政権のゆくえ-  かねてからの懸念が現実のものとなり、
 国際社会を震撼させた 北朝鮮による核実験。 国連安保理での制裁
 決議も完全拒否し、独裁者の次の一手を注視する国際社会を翻弄する
 かのような相変わらずの強気を見せてはいるが、しかし、強かな大国
 の思惑に嵌められ、破滅への道をひた走っているのは実は北朝鮮の方
 ではないのか?
 
 独自の取材や情報分析を元に著した 『北朝鮮処分』 及び 『「拉致」
 処分』 にて、米・中の「処分」対象としての北朝鮮の運命と、その
 とき日本が取るべき対応について世に問い掛けた青木直人氏をお迎え
 し、新たな段階に突入した北朝鮮情勢について検証していく緊急特番
 をお送りします。 どうぞお見逃しなく!
 
 
出演
 
青木直人 (ジャーナリスト)
水島 総 (日本文化チャンネル桜 代表)
 

ただいまBB放送でインターネット上でご覧になれます。
ここからどうぞ↓↓
http://bb.ch-sakura.jp/search.php?s%5Bseries%5D=38


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チャンネル桜 出演予定者情報は、こちらから
http://www.ch-sakura.jp/topix/177.html


チャンネル桜 週間番組表は、こちらから
http://www.ch-sakura.jp/weeklypg.html


〓【『正論』に水島が寄稿したものを前編後編に渡って紹介します】〓〓〓〓〓 

『妄説に断!  渡嘉敷島集団自決に軍命令はなかった』(前編)

 元琉球政府職員の証言が明らかにした真実と、
            それを封じ込めてきた戦後沖縄の現実
        
 水島総(日本文化チャンネル桜社長)&同局取材班(井上和彦・仙頭直子)
 
     戦後日本の「踏絵」とは何か

 自分は今、自分の生涯の中で最も美しいと思ってきたもの、最も聖らか
 と信じたもの、最も人間の理想と夢にみたされたものを踏む。この足の
 痛み。その時、踏むがいいと銅版のあの人は司祭にむかって言った。踏
 むがいい。お前の足の痛さをこの私が一番よく知っている。踏むがいい。
 私はお前たちに踏まれるため、この世に生まれ、お前達の痛さを分かつ
 ため十字架を背負ったのだ。        
 
           遠藤周作「沈黙」より



 私が渡嘉敷島集団自決の取材を決めた時、思い浮かべたのは遠藤周作
 の代表作「沈黙」だった。激烈なキリシタン弾圧の下、拷問や殺戮に殉教
 していく日本人信徒たちのうめきに何も反応せぬ神の「沈黙」、苦悩した
 司祭が背教の「踏絵」に向かうという小説である。読後、思ったのは私達
 日本人の戦後だった。戦後日本の「踏み絵」とは何だったのか、「沈黙」し
 続けているものとは何なのか、もし、私達日本人が「踏絵」を踏んだとした
 ら、一体、何を得て、何を喪ったのか。渡嘉敷島集団自決の取材は、そん
 な思いから開始された。
 
 今年五月、私が政策提言委員をしている日本戦略研究フォーラムのパー
 ティーのことだった。参加している人々をかき分けるようにして、その人は
 私に近づいて来て、私を抱くようにして叫んだ。「社長!証言する人、いま
 したよ。証言するって言ってます、沖縄の、渡嘉敷の、軍命令じゃなかった
 って、集団自決の証人ですよ!」

 彼は沖縄在住の元海上自衛隊員で奥茂治氏である。衛星放送「日本文
 化チャンネル桜」の熱心な視聴者であり、現在も予備自衛官として毎年の
 訓練を欠かしたことがない。奥氏によると、大東亜戦争中、沖縄・渡嘉敷
 島で起きた住民の集団自決について、テレビカメラの前で真実を証言する
 という人が出たとのことだった。

 その人は、那覇市に住む照屋昇雄さん(八十二歳)で、戦後、琉球政府で
 軍人・軍属や遺族の調査や援護業務に携わった経歴を持つ。渡嘉敷の
 島民が貧窮に苦しんでいる状況を調査し、「戦傷病者戦没者遺族等援
 護法」の適用によって援護金が下りるように、当時の渡嘉敷村長玉井
 喜八氏と共に、集団自決を軍命令ということにして、厚生省への申請書
 類を作成したというのである。また、当時の調査では、集団自決を軍命令
 だとする住民は一人もいなかったという。戦後六十一年を経て、その人物
 が、新たな証言をするというのである。

 以前、この問題を取り上げた曽野綾子氏の著書「ある神話の背景」を
 読み、私はノンフィクション本としては、完璧ともいえる取材と分析、
 そして深い人間観に裏打ちされた文章に感銘を受けていた。特に、
 大学時代ドイツ文学を専攻した私にとって、卒論の対象とした作家ト
 ーマス・マンの「非政治的人間の考察」の文章が、引用されていたの
 は嬉しかった。そして、この本こそ、私自身、「戦後思想」を疑い、脱却
 するきっかけとなった一冊でもあった。


 私は「ある神話の背景」で、既に全てが語られていると思っていた。ドキュ
 メントとしても、これ以上のものは無いと思っていた。間違いなく、集団自
 決に軍命令はなかったと証明されているのではないかと考えていた。


 しかし、現実は、全く異なっていた。トーマス・マンや曽野綾子さんとは、
 文学的にも、政治的にも極北に位置するだろうノーベル賞作家の主張
 が、現実の壁となり、慶良間諸島の集団自決は軍命令だったと一般に
 流布されたままになっていたのである。
 
 この集団自決については、「沖縄集団自決冤罪訴訟」として、現在、
 裁判となっている。平成十七年、慶良間諸島の海上挺身隊戦隊長
 だった元将校やその遺族が、大江健三郎氏の著書「沖縄ノート」(岩波
 新書)について、岩波書店と著者を相手取り、損害賠償と出版・販売
 の差し止めと謝罪広告を求めて訴えを起こしている。
 
 「沖縄ノート」は、集団自決を軍命令と断定し、渡嘉敷島の「守備隊長」
 (赤松嘉次大尉の実名は書かれていない)を「戦争犯罪者」、「屠殺者」と
 中傷表現で指弾し、「慶良間の集団自決の責任者も、そのような自己
 欺瞞と他者への瞞着の試みを、たえずくりかえしてきたことであろう。
 人間としてそれをつぐなうには、あまりに巨きい罪の巨塊のまえで、か
 れはなんとか正気で生き伸びたいとねがう」とまで痛罵し、「かれはじつ
 のところ、イスラエル法廷におけるアイヒマンのように、沖縄法廷で裁か
 れてしかるべきであった」とナチスのユダヤ人虐殺責任者とも同列視し
 ている。

 


 大江氏は、現地を丹念に取材した曽野綾子さんとは異なり、渡嘉敷や
 座間味島に全く現地取材せぬまま、伝聞と「鉄の暴風雨」等の書物に
 拠って書いている。そんな本が既に五十刷を重ね、約三十万部も売れ
 ているらしい。その影響なのか、中学高校の歴史教科書には、未だ軍
 命令による集団自決があったものとして記述されたものも多い。「犠牲

 者のなかには、慶良間諸島の渡嘉敷島のように、日本軍によって『集
 団自決』を強要された住民や虐殺された住民も含まれており」(三省堂
 高校日本史A)、「軍は民間人の降伏も許さず、手榴弾をくばるなどして
 集団的な自殺を強制した」(日本書籍新社 中学公教科書)等である。
 
 この新証人と証言によって、次の教科書検定で歴史教科書の記述を全
 て書き換えることが出来るかもしれない、私は内心そう思った。琉球政
 府の当事者が実名を出して証言するのは初めてであり、これまでの「軍
 命令説」を完全に葬るための決定的な証言になりそうだと思われた。
 
 沖縄の現状は、一言で言えば、未だ大江健三郎の世界であり、戦後日
 本のあり方を極端化した形で現しているーそんな実感を私は抱いてい
 た。反戦平和を常に叫び、戦争と基地の被害者として自己主張し、直裁
 に言えば、それによって毎年一兆円と言われる国家予算を引き出す、
 人口百数十万の沖縄県の「利権構造」こそ、戦後日本の極端化した姿
 そのものではないのか。集団自決の評価も、これと通底するものがある

 のではないか。
 
 沖縄戦で戦死された大田實海軍中将の「沖縄県民かく戦えり。県民に対し
 後世特別の御高配を賜らんことを」の有名な言葉は、沖縄県民が戦争
 の被害者だから、特別の御高配をと述べたわけではない。誇り高く、戦
 い、倒れた、日本人の鑑として、軍民とも英雄、英霊の島として、発せら
 れた言葉ではなかったのか。慶良間諸島の集団自決も、その延長線上
 にあったのではないのか。六十一年間の「沈黙」を探るべく、私は社内に
 特別チームを作り、沖縄に現地取材をすることに決めた。



  金城武徳氏の証言
  
 
 五月十七日、私達取材チームは、那覇に向かい、現地で奥茂治氏と沖
 縄技術スタッフと合流し、七月、九月と三回にわたる沖縄(渡嘉敷・座間
 味)取材を開始した。チャンネル桜のキャスターでジャーナリストの井上
 和彦氏も同行してくれた。証言をしてくれる照屋氏は、当時の公文書を
 那覇の陸上自衛隊広報室に預けていたが、そこも訪問し、広報室長の
 国場三等陸佐にお会いして、撮影協力の快諾を得た。
 
 翌朝、私達はフェリー「けらま」で那覇泊港から渡嘉敷島へ向かった。照
 屋氏に会う前に、何とか、島民の証言を撮れないかと考えたからだ。アポ
 イントも何も無かったが、とにかく現地へ行く、ドキュメンタリーの監督
 をしてきたこれまでの私のやり方である。集団自決の場所や島全体の
 様子など、撮影だけでなく見て、空気を味わい、感じておきたかった。
 天候は曇りで時々思い出したように晴れ間が見えた。
 
 一時間近く過ぎて、船上から渡嘉敷島が見えてきた。思ったよりずっと小
 さな島だった。米軍の上陸部隊も、こうしてこの島を眺めたのかと考えな
 がら、どんよりとした空と海に浮かぶ渡嘉敷島を撮影した。

 渡嘉敷港に着くと、私達はバン形式の観光タクシーを雇った。戦跡を撮影
 したいとの目的を告げると、中年の運転手は、慣れているのか簡単に
 肯き、直ぐに車をスタートさせた。島の北側の山上にある「集団自決跡
 地碑」、戦死者や集団自決者の遺骨を納め、祀った「白玉之塔」、「戦
 跡碑」、そして、赤松大尉らが海上特攻を目指して準備した「特攻艇秘
 匿壕」、島にいた朝鮮人工夫や慰安婦を記念し韓国人が作ったという
 「アリランの碑」なども回った。「アリランの碑」は、随分、大掛かりに作ら
 れたモニュメントだったが、訪れる人もないらしく、入り口の看板が朽ち
 て地面に落ちていた。
 
 「集団自決跡地碑」付近には、誰もいなかった。風が強く、石碑の周りを
 囲む低い木々が、音を立ててざわめいていた。ここで三百人以上の
 人々が自決したのである。案内してくれた運転手が、手馴れた様子で
 入り口のゲートを開けてくれた。私達は碑のまわりにあったゴミを片付
 け、献花し二礼、二拍手、一礼の参拝をした。私はその後、般若心経
 を奉唱した。私達の思いが伝わったのか運転手は急に親切になり、
 親しさを見せるようになった。撮影機材の持ち運びなども手伝ってくれた。
 
 撮影が一巡した後、遅い昼食をとりながら、私は運転手に、集団自決につ
 いて証言してくれる人がいないか相談した。少しためらった後、彼は承知
 してくれ、島にいるお年寄りを訪ねることになった。しかし、何軒もの民
 家を訪ね回ったが、留守だったり、居留守のようだったり、断られたりと
 、中々、見つからなかった。「これが渡嘉敷か…」と運転手が本当は証言
 者を紹介したくないのではないかという疑念がよぎったものの、彼は「金
 城さんなら話してくれると思う」と言い、その家に私達を連れて行った。
 
 金城武徳氏は、『ある神話の背景』にも出てくる人である。最初、金城氏
 は私達のことが良く分からぬまま、「家を撮影するな」「カメラを回すな」
 と厳しい調子で、我々に対応した。しかし、運転手の話や私の説明を聞く
 内、態度を和らげ、集団自決跡地碑の前なら話してもいいと、撮影に応じ
 てくれることになった。私達は再び「集団自決跡地碑」に向かった。碑の
 前に立った金城氏は、碑の後方にある低い木々の密生する場所を指
 差し、ここを訪れる霊感の強い人は、今でも叫び声を聞いたり、きれい
 な女の人が立っている姿を見るのだと話した。以下が、金城武徳氏の
 証言の核心部分である。


  混乱のなかで自決を呼びかけた村の幹部と村民の意志が招いた

 「終戦直後から、沖縄のマスコミは日本軍を悪く書こうとするクセがあった
 。渡嘉敷の集団自決も赤松が命令してるんだ、こう言いよったんですが、
 赤松大尉は集団自決命令はしていないんです。保証人は、渡嘉敷の住
 人全部です。(昭和二十年)三月二十三日から空襲がはじまって、四日間
 空襲されたんですよ。島の周囲は二十キロの小さな島、その時の人口は
 一千五百名ほどでした。空襲を避けるためには、自分たちの家から近い
 ところに、防空壕を掘って、そしてそこで空襲を避けておったわけですよ。
 空襲警報が鳴ったら、そこに駆け込んで。そしてまた、長期戦にそなえて、
 そして自分たちの勝手のいいところで、畑とかあるところに小屋を作って
 あるんです。そこに食料品、玄米とか黒砂糖、鰹節なんかを貯蔵してあ

 ったんです。

 しかし、空襲がすんだから、次は上陸だとその小屋に来てたら、伝令の
 島の青年が各避難小屋をめぐって、部隊の裏の、盆地に避難しないと
 いけないらしいですよ、と言ったんです。その時は大雨でした。大雨の
 中、赤ちゃんなんかも、年寄りなんかも雨にぬれて着いた。この谷間と
 あの谷間に分かれて避難してるんですが、三月二十八日の午後三時
 ごろから、迫撃砲飛んで来たんです。したらもう村の幹部が騒いでしま
 って、来たるべきものが来たんだと思ったんでしょう、両方の谷間に
 避難してるのを集めて、当時の村長(古波蔵惟好氏)が訓示して、天皇
 陛下万歳三唱して、どこからもってきたのか十~二十名に一、二個ず
 つ配られている手榴弾を突いた訳です。それが爆発した人は死んでる

 んですが、我々は爆発しなかったもんだから生きていたわけです。

 飛んできた迫撃砲も当たってくれないし、結局、我々は生き残って、
 六百名ほど、軍の部隊本部に行って機関銃で殺してもらおうと移動し
 たんです。却って怒られた。「軍人が戦(いくさ)をするんだ、なんでこん
 な早まったことをしたのか。生きられる限り生きるのが住民じゃない
 か。」ということで怒られた。そこに残っていた人は、主に阿波連(ア
 ハレン)の人なんです。その人たちが殺し合いして、おじいさんもおば
 あさんも手にかけたと言ってるんですよ。そこで死んだ人で、意気地
 のいい女の人なんか、自分で首つっている。
 
 僕らのところには、昔、軍人の短剣、ごぼう剣いうのがありまして、何処か
 ら持ってきたのか、死にきれない女の人たちは、それで左の胸の下が
 心臓だからといって、これで刺したらしい。僕はその時数えで十五歳でし
 た。お前も生きてるし、(家族を)殺した人も生きているんだから、このこと
 はお母さんも話さないほうが(いい)といって、マスコミなんかに聞こえたら
 大変なことになるよと、しかし、渡嘉敷村史にぴしゃっと書いてあります。
 
 「では集団自決は、軍の命令じゃないんですか?」
 はい、違います。これは軍の命令ではないです。これはですね、自分た
 ちで、やっぱり普段からそういう教育しかされてないもんだから、鬼畜
 米英に捕らわれたら、女はどんな辱めをうける(かわからない)。男は
 ドラム缶に入れて丸焼きにされる。だから早く死んどかんといけないと
 いう教育だけしか、小さいときからされてないから、皆が同意でやった。
 しかし、マスコミとかが言いたい放題で、軍の命令で集団自決しているん
 だ、ということを言うんです。軍の命令ではないです。僕はこちらから
 (自決場)は早く逃げているから、後のことはわからないが、こちらで
 三百十五名の人が亡くなっています。今日明日のことは、夕方忘れて
 も、六十年前の戦争のことは、一つも忘れません。全部覚えています。
 とにかくどうせ死ぬんだから、一人一人殺し合いした。お父さんお母さん

 殺すということは、愛ということでしかならない。」

 金城氏の証言から、浮かび上がってくるのは、島民同士、家族同士が
 互いに殺し合う状況が、軍による強制的な自決命令ではなく、村長を
 はじめとする村の幹部の自決への呼びかけと村民自身の意志によっ
 て、ごく自然に行われたことである。後述するが、彼らはサイパン玉砕
 や隣の座間味島の集団自決を既に聞いており、それに続いたので

 ある。
  
 金城武徳氏は、七月二十三日、再度、私達取材班が渡嘉敷島取材を
 行った渡嘉敷村歴史民俗資料館(村営)でも、インタビューに応じてく
 れ、赤松大尉率いる赤松隊歌を歌ってくれた。当時そういう歌まで

 あったのである。
 
 
 一、不壊神州に敵迫り 陸海空のつわものは清き歴史を守らんと 
   鍛えに鍛えし血の結晶今ぞ東亜の風雲期 勇躍立てりて若人は 
   新鋭集う赤松隊
 
 二、ああ 南海は夜の星 珊瑚輝く行き帰り 烈風すさぶ黒潮も 
   大和桜と散りて咲け今ぞ東亜の風雲期 撃ちてしやまん心持て 
   孤高たるかな赤松隊
 
 村営渡嘉敷村歴史民俗資料館には、赤松大尉の軍刀や恩賜の
 銀時計、軍隊手帳などが、きちんと展示されていた。大江氏が「沖縄
 ノート」で書いたような「戦争犯罪者」、「屠殺者」だったら、村役場も
 村人も展示などするはずがない。隠されてきた村人の「沈黙」、その

 本意が垣間見られるような展示だった。
 

             (次号につづく・・・・)

※この記事は月刊「正論」にご了解をいただき、転載させていただきました。



〓【 おすすめのイベントや講演会に関する情報 】〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓



○【掛川市】 平成18年度 遠州公開講座 
「松下幸之助翁に学んだ経営の心・日本の心」 (10/29)
日時 平成18年10月29日(日)13時20分
受付 14時~16時30分 講演会、17時~19時 懇親会
 
○【千葉市】 日本の誇り復活セミナー  ( 10/29 )日時
 平成18年10月29日 10:00~15:00 (受付開始9:30)
 
○【鰍沢町】「一日も早い家族再会を目指して」(11/05)
日時 平成18年11月4日(土)午後2時~ 1時半開場
場所 鰍沢中学校体育館
登壇予定者 横田滋さん早紀江さん夫妻

○【京都市】  第4回 関西民間憲法臨調 講演会 ( 11/4 )
日時 平成18年11月4日(土)午後1時半~4時半(開場 1時)
 場所 京都府神社庁会館 TEL 075-863-6677
   京都市西京区嵐山朝月町68-8 阪急嵐山線「松尾」駅下車、徒歩1分
 基調講演
 演題 『陽明学と憲法改正』
 講師 吉田和男(京都大学大学院教授・関西民間憲法臨調代表)
 ※1時50分~2時50分
 
○【岐阜市】「林雅俊さんの失踪を考える集会」(11/05)
日時 平成18年11月5日(日)午後2時半~4時
 場所 岐阜大学工学部101教室
 登壇予定者 荒木和博
 
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チャンネル桜ウェブサイトではさらに多くのイベントを紹介しています。
詳しくはこちらから
http://www.ch-sakura.jp/events.html



〓【 おすすめの書籍紹介 】〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

○  日本人の魂―明治維新が証明したもの
  淵上貫之 出版社  駒草出版 ISBN  4903186180
http://www.ch-sakura.jp/publications/book.html?id=346

○ SAPIO(11月8日号)
   出版社  小学館
http://www.ch-sakura.jp/publications/book.html?id=351

○奇跡の船「宗谷」 - 昭和を走り続けた海の守り神 -
 桜林美佐
  出版社  並木書房 ISBN  4890632069
http://www.ch-sakura.jp/publications/book.html?id=352
 
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〓【 チャンネル桜とは? 】〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

 衛星放送スカイパーフェクTV!(sky perfecTV!)の767chで、日本文化を
 中心に放映しています。
 
 他のメディア報道と一味違った日本の伝統文化、保守の観点、国益の
 観点から報道します。
 
 チャンネル桜は、日本の伝統文化の復興と保持を目指し
 日本人本来の「心」を取り戻すべく設立された
 日本最初の歴史文化衛星放送局です。

 豪華メンバーで歯に衣着せぬ論説を展開してします。
 
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〓【編集後記】〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
先週末、六本木での八木秀次さんの
「安倍内閣に真の教育改革を求める国民集会
 -教育再生民間タウンミーティングin東京」に参加しました。
早く日教組の爪あとから脱却して、本来の伝統と自由のある活気ある
教育現場を再生して欲しいものですね。        (担:わだ)

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